なにか、いる

8月 26, 2020

これは、俺が10代の終わりだった頃の話です。

当時俺は、神奈川県のある街で下宿していました。

そこは新宿から電車で1時間ちょっとの、いわゆるド田舎の駅で、その駅から徒歩で30分も掛かる田舎の田舎でした。

その下宿の隣は中学校のグラウンドになっていて、小高い場所にあり周りには何もない草茫々の中の一軒家で、学生が7、8人いる粗末なアパートでした。

そのアパートは平屋建てで、大きい玄関を入ると長い廊下があり廊下の両側に学生の部屋が両方で8部屋くらいあり、真ん中あたりに台所があってその斜め前が共同トイレになっいて、その隣に共同の浴室がありました。

部屋はっていうと、当時の下宿ですから入り口の玄関からスリッパを履いて廊下を歩いて、自分の部屋の入り口(引き戸で小さい窓がついていました)でスリッパを脱ぎ、引き戸を開けると4畳半の小さな部屋で、部屋の反対側に窓がありました。

学生ばかりのアパートなので賄い付きになっていて、その日は台所で夕食を終えて部屋に戻り、別にする事もないので電気を消して、部屋で横になっていました。

夜の8時くらいだったと思うんですが、俺の部屋の前を同じ下宿人なんですが3、4人でこいつ、もう寝てやがる、なんて話ながら廊下を通り過ぎていく声がしたのを憶えています。

それからどのくらい経ったのか、はっきりとは憶えていませんが、そんなに時間は経っていなかったと思いますが、それは突然きました。

急に体が全く動かなくなり、どうにもなりません。

手足を動かそうとしても、自分の体なのに全く動かせない、これが話に聞いていた金縛りってやつなんだなって思いました。

仰向けに寝ていたので、天井が見えるだけなんですが視線を横に向けられません。

そこに誰かいるような気がしていたからです。

暗闇の中に誰かが。

音も何も聞こえませんが、何かいるっていう気配だけが伝わってくる。

暫く怖くて怖くて、天井を見ているだけでしたが、勇気を振り絞って視線をそこに向けてみました。

暗闇の中に何かがうずくまっているような、それが何なのかは分かりません。

どういう形って言われても、説明しようがない、漠然としたものとしか言いようがない。

それからフーっと金縛りが解けて、普通に体が動くようにはなりました。

それが霊だったのか?

或いは俺の体が変だったのか?

今思い出しても、体調は普通だった。

何かの発作が起きて、そんなん成ったんじゃない。

それが何だったのか、何でそんなん成ったのか、全然分からない。

昔の奇妙な体験でした。


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